金融庁、銀行に対し正常先にも引当金の計上を認める方針

金融庁は銀行に対し、融資先の将来の経営リスクに応じた引当金の計上を認める方針であることが報じられました。

 

金融庁は2019年度中にも銀行の経営を監督するための「金融検査マニュアル」を廃止し、その代わりにディスカッションペーパーと呼ぶ「考え方」を盛り込んだ手引書をつくりますが、新たな引当金計上の考え方はペーパーに盛り込み、20年度にも適用するそうです。

新たな方針では、黒字決算が続き業績が堅調な企業への融資でも、将来のリスクを考えて金融機関の裁量で引当金を積むことを認めるものです。

 

大きな人口減が見込まれる地域での販売比率が高い小売店や、電気自動車(EV)になると不要なエンジン部品に頼る自動車部品メーカーなどへの融資が想定されるとしています。

 

銀行はこれまで、金融検査マニュアルによる一律の「形式主義」で引当金を計上してきました。

損益や返済の状況をもとに、融資先を「正常先」から「破綻先」まで6段階に分類。

貸したお金を回収できない可能性を考慮して、不良債権処理の細かいルールのもとで引当金を積んできました。

 

金融検査マニュアルはバブル経済が崩壊し、金融システム不安が高まった1999年に導入され、金融機関の裁量を制限することで不良債権をあぶりだし、処理を進めることで金融不安を収束させる効果がありましたが、足元では画一的な対応による副作用がでていると指摘されていました。

マニュアルへの対応を重視する銀行は担保や保証に頼りやすくなります。

一方で低金利下で金利負担は下がり、企業は低収益でも黒字にでき、こうした企業は「正常先」となり、銀行の引当金は大きく減りました。

従って、将来の金利上昇というリスクには備えられていない状況といえます。

 

これまでのマニュアルでは引当金を計上した融資のある企業は「経営が悪い企業」であり、追加融資は難しいとされていました。

新たな考え方ではこれも改め、引当金を積みながら追加で融資もできるようにします。

金融機関として将来のリスクに備えつつ、新たな事業の育成や再建のための運転資金などを提供する道をつくる方針です。