生損保、仮想ロボ導入続々 (日刊工業新聞より)

保険会社で、定型的な事務作業を自動化するコンピュータープログラム「RPA(仮想ロボ、ロボティック・プロセス・オートメーション)」の導入が活発だ。

 

三井住友海上火災保険と第一生命保険は全社的な導入を決定。

損保ジャパン日本興亜や日本生命保険も導入を進める。

人手による単純作業の自動化は生産性向上や働き方改革につながる。これまで難しかった事務作業の自動化に、各社は期待を寄せている。

 

産業用ロボットやFA(ファクトリー・オートメーション)が工場における作業を自動化したように、RPAは事務作業の効率化・省人化に寄与するシステムだ。コピー&ペーストなど単純なパソコン作業を人間以上に迅速・正確にでき、導入コストが低廉なのも特徴。

 

RPAの導入で先行したのは損害保険業界だ。

特に三井住友海上火災は他社に先駆け2007年に導入。最初は火災保険の契約確認作業に使うRPAを自社開発した。データ入力などを自動化した結果、「1件当たり1時間かかっていた作業が数分間で完了」(経営企画部)するなど大きな成果を上げた。

最近ではアクセンチュアと連携し、数百に及ぶ作業を詳細分析。対象のうち約18%が自動化できるとの結果を得て、全社的な導入を決めた。RPAで自動化できた余力を顧客対応向上などに振り向けていく考えだ。

その他損保会社でも、損保ジャパンが自動車事故の対応や保険金支払いなどを行う部門に試験導入するなどRPA導入が相次ぐ。

 

RPAへの注力は生命保険業界も同様だ。日本生命は銀行窓販事業部門にRPAを導入した。請求書データのシステム入力作業などで活用。女性が多い職場のため、親しみやすいよう「日生ロボ美ちゃん」と名前を付けている。

第一生命は16年10月からデロイトトーマツコンサルティング、アクセンチュアと共同でRPAの実証試験、システムへの適用、導入可能業務の分析を実施し、個人保険事務の約20業務で試験導入した。今後は保険関係事務に加え、マーケティングや資産運用など、さまざまな事務業務に活用していく計画だ。

RPAは基本的に定型的な事務作業を代行するシステムであり、定型的な事務作業が多い金融機関と親和性が高い。特に保険は契約者のデータ管理や証明書の発行など、手入力に頼る仕事が多いのでなおさらだ。今後もさらなる普及が見込まれるとともに、各社は余力で顧客へのサービス向上に努める方針であり、差別化に向けた競争が激しくなりそうだ。