生保各社のiDeCo 独自サービスで差別化 (日刊工業新聞より)

生命保険会社が個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の取り組みを強化している。

日本生命保険は5月から運用管理機関手数料(月額313円)を無料にするキャンペーンを開始した。

第一生命保険も12月まで同様のキャンペーンを実施。手数料無料サービスは証券会社が先行して開始したが、生保は手数料無料以外の独自サービスも付加し、差別化を図る。

 

イデコは加入者が毎月一定額を拠出し、投資信託などで運用する制度。運用成績で将来の給付額が変わるが、拠出額が毎月確定しているため「確定拠出年金」と呼ばれる。掛け金の拠出・運用・年金資産の給付の3段階で税制優遇があるが、原則として60歳以上まで給付が受けられない。1月に制度が改正され、公務員や専業主婦が加入対象に加わり、さらなる市場拡大が見込まれている。

 

日生は制度改正をきっかけに、16年12月から低コストファンドをそろえた新プランの提供を開始した。独自なのが旅行やホテル宿泊、ショッピングを優待価格で利用できるサービス。これらが好評で「資料請求が前年比で70%増加した」(日本生命保険)。加入者は3月末時点で6万6000人だ。

 

第一生命は1月から新プランを提供。時限的な無料キャンペーンだけでなく、資産残高に応じて手数料を無料にする仕組みも導入した。独自の取り組みは医療や介護に関する電話相談サービス。加入者やその家族に無料提供しており、健康問題から一般的な法律・税金相談まで幅広い悩みを受け付ける。「今年に入ってから問い合わせが前年の3倍に増

加」(光宗慶子確定拠出年金室長)しており、加入者数は4月17日時点で約1万6000口座となっている。

 

イデコの加入者数は、制度開始前から無料キャンペーンを打ち出したことが奏功し、SBI証券などネット証券が上位となっている。証券会社はイデコをきっかけに新規顧客を開拓したいとの思惑があり、採算を半ば度外視した低価格戦略を取っている。

 

保険業界はこれまでイデコが本業の年金保険事業とバッティングする可能性もあるため慎重姿勢を崩さなかったが、最近の盛り上がりでサービス向上に力を入れる会社も出てきた。ただ、本格的なコールセンターなどを設置する関係上、適正な費用も必要となる。極端な低価格路線ではなく、保険会社らしいサービスで顧客獲得を狙う。