株主総会での議案賛否 第一生命、個別開示 生保で初 (毎日新聞より)

第一生命保険は、運用先企業の株主総会での対応について、議案ごとの賛否を全面開示する方針を決めた。

約2200社が対象で、総会での行動をガラス張りにして、資金運用を受託した顧客に対して投資先の企業の経営を厳しくチェックしている姿勢を示す。

 

金融庁が生保などの機関投資家に対し、運用先企業とのなれ合いを絶つよう求めていることにも対応する。

大手生保で全面開示に踏み切るのは初めて。開示に慎重な他の生保の動向にも影響を与えそうだ。

生保や信託銀行、資産運用会社といった機関投資家は、顧客から預かったお金を株式などで運用している。生命保険協会によると2015年度末現在、生保業界全体で約20兆円の国内株式を保有。同時に運用先企業に団体保険の契約や融資をしているケースも多い。このため、企業側への配慮が働いて、株主として本来あるべき厳格な経営チェックができていないとの指摘があった。

第一生命は株式を保有する運用先の国内約2200社について、今秋をめどに昨年7月~今年6月の株主総会での取締役選任案や役員報酬案などに対する議決権行使の内容をホームページで全面的に公表する。同社は14年以降、議案の種類ごとの賛否を集計して公表していたが、運用先企業ごとの詳細は明らかにしていなかった。全面開示に踏み切る背景には、10年に相互会社から株式会社に転換して上場し、自らも株主の監視を受けていることがある。

明治安田生命保険も、変額年金など高利回りを追求する契約者の資金を受託した「特別勘定」の運用先企業約400社について、議決権行使の個別開示を検討。今年の株主総会での賛否を個別開示する可能性を探っている。

一方、住友生命保険と日本生命保険は「対応を検討中」としており、慎重な姿勢を崩していない。特に日本生命は「運用先企業の中長期的な企業価値向上を促す観点から、企業との対話を重視している」と説明、集計結果も公表していない。

生保業界以外では、資産運用会社の野村アセットマネジメントが4月末に個別開示を実施。三菱UFJ信託銀行が8月に開示を予定するなど、大手信託銀行も足並みをそろえる方向となっている。

議決権行使の個別開示の流れが加速している背景には、金融庁の圧力がある。同庁は3月、機関投資家の行動原則を定めた「スチュワードシップ・コード(受託者責任原則)」の改定案を公表。運用先企業の成長を促すため、「機関投資家は、議決権の行使結果を、個別の投資先企業及び議案ごとに公表すべきだ」と求めていた。