ネット生保、販路多角化 (日刊工業新聞より)

ライフネット生命保険やオリックス生命保険など、インターネット生命保険の事業構造が変化している。

 

ネットのみだった販売チャンネルは、保険代理店や自前の営業部門などを加え多様化。

携帯電話キャリアなど他業種との連携もある。

 

新たな販路開拓が進む一方、ネットでの契約は伸び悩み「ネット生保」としての独自性や存在感はやや薄れている。

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【好業績継続】

販売チャンネルの多角化が奏功し、好業績を続けるのがオリックス生命だ。2016年10月に自前の営業部門を立ち上げた。ネットで資料請求してきた見込み客に営業する方式が当たり、16年10月―17年3月期の同部門売り上げは「目標の1・5倍」(オリックス生命)になった。同社はこの成果に手応えを感じ、現在100人の営業人員を中期的に2000人へ拡大する方針だ。ネット、コールセンター、代理店も含めた“販売のオムニチャネル化”を推進する。

ライフネット生命はKDDIと資本業務提携し、携帯電話販売店「auショップ」で生命保険を販売している。16年からauのスマートフォン利用者向け保険も販売しており、「新契約もそれなりに伸びている」(岩瀬大輔社長)という。

数年前まで業績が低迷していたアクサダイレクト生命保険も、「銀行店舗での窓口販売を強化」(斎藤英明社長)し業績がV字回復した。

 

【地銀経由販売も】

SBI生命保険は住宅ローンに対応した地方銀行向け保険を販売する。地銀を通じての医療保険や生命保険の販売も視野に入れる。

販路の多角化で各社の契約数は伸びているが、ネット生保が登場した時に期待されたような業界の革新的変化は起こっておらず、ネット生保の存在感は低下している。それを裏付けるように、ネット生保の代表企業であるライフネット生命の株価は、12年の上場時に比べ2分の1以下で停滞している。

 

【双方向性に活路】

「ネット生保」として一層の成長には何が必要か。SBI生命の飯沼邦彦社長は「現状はネットで単に商品を販売しているだけであり、ネットが持つ双方向性を生かした新たなサービスが必要」と語る。ライフネット生命とKDDIの連携も、KDDIが持つビッグデータを生かした顧客アプローチなどができれば一層シナジーを発揮できるだろう。

他の金融業界を見ると、銀行のダイレクトバンキングは広く普及し、個人投資家の取引はネット証券に移行した。ネットチャンネルで新たな利便性や価値を提供できれば、保険で同じパラダイムシフトが起こる可能性はまだ残っている。