進学資金 計画的に備え (毎日新聞より)

大学入学シーズンを前に、受験生家庭の多くでは進学資金の手当てが焦点になったはずだ。

今や2人に1人の大学生は何らかの奨学金を受けている。

いざという時に困らないために早くから計画的な資金プランで備えておきたい。

子の教育資金を考える場合、最大のポイントは大学費用だ。

子2人が私立大に進学するモデルケースでみると、高校までの教育費は可処分所得の2割程度に収まるが、大学では5割、2子とも下宿の場合は8割にのぼる。

この約20年、家計収入が減る一方で大学の学費は上昇し、家計の負担は増している。

今後はどうか。

財務省試案では国立大授業料が2031年度に現在から40万円増の93万円になる見通しがある。

一方、与野党では高等教育の無償化に向けた議論も始まった。

見通しは不透明といえる。

●高校まで年収内で

教育資金プランは、大学資金を作るためのものであり、高校までの費用は年収内でまかなうのがポイントだ。

例えば、子の幼児期に周囲に影響されて早期教育にいくつも取り組むケースがあるが「焦るのはわかるがおけいこ事は一つで十分」。

中高一貫校に進学する場合も、貯金を取り崩さなければ手当てができないのなら資金面では問題がある。

「高校までにお金を使ってしまい、いざという時に困っている親が多い」という。

どのぐらい必要か。

日本政策金融公庫の調査では、入学費用(受験費・納付金など)と在学費用(授業料・通学費・施設費など)は、国公立大485万円、私立大文系695万円、私立大理系880万円。

下宿の場合はさらに住宅費が加わることになる。

支出時期にはタイミングがあることも知っておきたい。

最もかさむのは入学前。

全国大学生活協同組合連合会の調査によると、入学前にかかった費用は、自宅通学の場合、国公立大126万円、私立大149万円、下宿の場合は国公立大201万円、私立大222万円。

これには受験料・入学金や授業料、教材費、下宿の場合は敷金礼金や引っ越し代など住居関連、生活用品の費用が含まれる。

その後は、春秋の授業料納付時に支出が増えることになる。

●学資保険の損得

長期にためる手段としては、定期預金積み立てや学資保険がある。

学資保険は契約者が死亡したり高度障害の状態になったりした場合に払い込み免除があり、貯蓄と保障を兼ねている。広く利用されており15年の新規加入は84万件にのぼる。

ただし、低金利環境で運用が難しくなり貯蓄面の魅力は薄まってきた。

支払う保険料に対し受け取る保険金の割合(返戻率)は4月の改定で一段低くなる。

現在114%と業界最高水準の明治安田生命保険でも104%に下がる。

投資信託積み立てなどリスク商品の運用も候補になるが、資金が必要な入学時に換金に適した相場かどうかはわからない。

必要資金は確実にため、余剰分は投資に回す方針がよさそうだ。

資金源には児童手当が活用できる。

所得制限にかからない場合、第1、2子は3歳未満が月額1万5000円、3歳から中学までは月1万円。

総額約200万円になる。

●借り入れは慎重に

教育資金については13~18年度の時限措置で30歳未満の孫らに1500万円まで非課税で一括贈与できる制度がある。

信託協会によると、16年9月末時点で贈った資金額に相当する信託財産設定額が1兆1635億円、累計契約約17万件と人気が高い。

15年1月の相続増税の節税策として利用されたことが後押しした。

注意したいのは、祖父母ら扶養義務者が孫の教育費をその都度負担してももともと贈与税はかからないことだ。

制度のポイントはあらかじめ一括して贈与できる点にある。

リタイア後すぐに退職金などで余裕があるからと安易に一括贈与すると、将来、老後資金に困ることになりかねない。

無理するのなら本末転倒だ。

自己資金で大学資金をまかない切れない場合は、借り入れも選択肢となる。

奨学金は、まず返済が必要ない給付型を検討したい。

大学や企業、自治体が独自制度を設けており、国も18年度から本格的に設置する。

貸与型は日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の利用が多いが、子の借金になるため、借りすぎは禁物だ。

親が借りる場合は、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」や社内融資などが候補となる。

できるだけ金利が低いものを選ぶのが原則だ。