広がる「親介護保険」  (毎日新聞より)

親が要介護状態になった場合に補償金が支払われる「親介護保険」が広がり始めている。

介護に伴う経済的負担を軽減したいニーズの高まりを受け、企業が福利厚生の一環で団体保険として取り入れる動きも出てきた。

年間10万人を超える「介護離職者」の抑制につながるかも注目される。

生命保険文化センターによると、介護にかかる平均費用は、住宅のリフォームや介護用ベッドの購入など一時的なもので80万円。これとは別に1カ月あたり7万9000円の介護費用がかかり、総額は500万円を超えるという。

育児・介護休業法では、親などを介護するために休業した場合、賃金の67%を最大93日分受けられるが、その後は無給になるケースが多く、経済負担が重くのしかかる。介護のため週末だけ遠方の親元に通う人も多く、交通費負担に耐えかねて仕事を辞め、地元に戻る人も少なくない。

このため近年は、契約者本人だけでなく、別居する親を対象にできる保険が広がってきた。

太陽生命保険は2015年4月、親が要介護2以上と認定された場合に保険金を支払う団体保険の販売を始めた。保険料は親の年齢(加入時40~85歳)に応じて変わり、最大300万円が補償される。

日本生命保険も10月から同様の団体保険の引き受けを始めるほか、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損保が月収を1年間補償する保険の販売を始める。

損保ジャパン日本興亜も16年に「親孝行一時金支払特約」の支払い上限を300万円に引き上げた。「企業の福利厚生に役立ててもらう狙い」(太陽生命)から、いずれも団体保険として販売している。一方、東京海上日動火災保険は10月から販売する個人向け就業不能保険に親介護の特約を設ける。

総務省の調査によると、11年10月から1年間に親などの介護・看護を原因とした「介護離職」は約10万人に上り、働きながら介護する人は約290万人もいる。太陽生命の山田雅利法人業務課長は「保険金で介護設備を整えたり、交通費を賄ったりできるようにすることで、仕事を辞めて地元に戻らざるを得なくなる人を減らせれば」と話している。