外資系の生保争奪 (日本経済新聞より)

日本で中堅以下の外資系生命保険会社の争奪戦が激しくなってきた。

 

日本生命保険が中堅のマスミューチュアル生命保険の買収で最終交渉に入ったことが5日明らかになった。香港のFWDグループも今年に入ってAIG富士生命保険を傘下に収めた。人口減少で国内市場の拡大が見込みにくい一方、厳しい金融規制で欧米勢が本国回帰を強めている事情がある。

日本生命はマスミューチュアルの株式の過半を米マスミューチュアル・フィナンシャル・グループから取得する方向で最終調整に入った。買収額は1000億~2000億円の見込み。国内生保同士の大型M&A(合併・買収)は日本生命が2015年に三井生命保険を約2800億円で買って以来となる。

 

日生は営業職員チャンネルに強い三井生命に続いて、銀行窓口での保険販売が専門のマスミューチュアルを傘下に収める。相次ぐ買収で複数の販売ルートを同時並行で強化する格好だ。日生は5日「国内外で様々な検討をしていることは事実だが本件について現時点で決定している事実はない」とコメントした。

マスミューチュアルは旧・平和生命保険が前身。米企業が資本参加する形で外資系の傘下に入った。国内の外資系生保では近年、日本市場から撤退・縮小する動きが加速している。12年には独系のアリアンツ生命保険が新契約の受け付けを停止。15年には米系のハートフォード生命保険がオリックス生命保険に全株式を売却し、撤退した。

リーマン危機時に米政府が救済したAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)も、AIG富士生命保険の全株式を香港のFWDグループに売却した。

 

日本の生保市場は周辺のアジア各国に比べると成長が頭打ちで、マイナス金利政策による逆風も強い。欧米大手は経営の健全性を示す自己資本比率を高めるため、自国外でのビジネスを縮小する傾向にある。日本事業が中途半端な大きさにとどまっているケースでは今後も撤退候補とみなされる可能性がある。

半面、国内大手は収益率の低下を規模の拡大で補う動きを強めそう。日生の積極姿勢に触発され、他の大手組が対抗策に出るのは確実だ。外資でも買収する側に回ったFWDグループは「日本は世界で2番目に大きな市場で、独自性の高い商品で成長が期待できる」(幹部)と強調している。